レポートその3:ディスカッション編[熊本地震 情報支援連携会議]


5月29日に開催した熊本地震 情報支援連携会議のレポート、その1イントロ編その2活動報告編につづき、最後はディスカッション編です。最後には政府関係の出席者からもコメントもいただきました。


グループディスカッション


まずは、個々人で4分間、できたこと、できなかったことをポストイットに書き出し、それを8つのグループで20分ディスカッションの後、全体で発表を行ないました。

各チームごとの発表の様子を写真で紹介します。


●チーム1 IT使えない人をどうする?

ITを使った支援の今後の課題は、ITを使っていない人にどう伝えるか? また、災害時の状況がどんなふうであるか、平時に知っておくことが備えにつながる。そうした情報発信も有効では。

チーム1発表

チーム1

 

 

 

 

 


●チーム2 輪が広がったが、事前のシュミレーションできていなかった

今回、連携の輪が広がったのはよかったが、事前のシュミレーションができていなかった。例えば、Code for Japanでやってみたい。また、過去のそれぞれの災害で、いつ何がおき、どんな情報が必要だったかを整理しておくべき。

チーム2発表チーム2

 

 

 

 

 


●チーム3 情報の発信の仕方の整理、避難所の組織マネジメント、NPO・ボランティアの的確なマッチング、コーディネート

情報発信は増えたが、それをどうわかりやすく的確に発信するかの整理が必要。(フェーズ別など)また、避難所で誰に聞けばよいのかわからないなど、避難所の組織マネジメントも課題。また、NPOやボランティアの得意分野を事前把握し、的確な情報をマッチング・コーディネートする機能が必要。

チーム3発表

チーム3


 ●チーム4 SNSの活用はターゲットを考え直す、過去の災害を学んでない、次に生かそう

SNSの使い方:被災地の被災者には届きにくいかもしれないので、支援者向け中心がよいかもしれない。また、現地からの情報は吸い上げるべき。また、過去の災害の教訓が次の災害や他の地域に生かされないことをなんとかしたい。さらに、気象庁の情報をわかりやすく生かしていくべき。

チーム4なう

チーム4


●チーム5 情報の統合、システムを乱立させない

現地の一般の人にどこまで情報が届いたのかわからないというのは課題。情報を利用しやすいように地図などを活用したのはよかった。情報(需要と供給)の集約と共有を考え、システムの乱立が情報分散につながらないよう工夫が必要。

チーム5なう

チーム5 

 

 

 


●チーム6 チーム熊 普段からつなげる、マッチング 

いろいろな団体を改めて普段からつないだり、カンファレンスを行なったりしてはどうか。また、新しいテクノロジーを災害時に急に導入するのは困難。既にある知見やスキルをもった人を平時につなげ、届けることが有効かもしれない。

チーム6発表

チーム6


 ●チーム7 メディア行政チーム メディアや行政の情報は届いた?

被災地に(特に災害直後に)届いている情報/届いていない情報の精査が必要(NHKが聞き取りを行なう予定)。また、被災者は自分の地域のことだけを知りたいので、TVのL字で全地域を出すのではなく、ネットのライフライン情報をわかりやすくするなど、災害時用のシステムを準備していきたい。全般としては、フェーズ毎に何のためにどんな情報が必要か明確にしてほしいという意見があった。

チーム7発表 チーム7


●チーム8 ITによる情報発信は進み、連携が始まった。ボラセン専門チーム必要じゃ?

できたことについて、ITによる情報発信は過去の災害に比べるとだいぶ進み、組織・団体を超えた連携が始まった最初だった。今後の課題としては、ボラセンの開設は労力がかかるが、立ち上げの人を独立させた方がよい?被災者の人にどのように届くか?伝え方に課題、自治体間の連携、などがあげられた。

チーム8発表

チーム8


松川さん(ハングアウト経由)

自らネットを活用して情報を得られない人にどう寄りそうか?報道の偏りによる支援の偏在について、マスコミの参加者の方に検討をお願いしたい


以上短時間ではありましたが、とても盛り上がるディスカッション、発表となりました。

個人のポストイットコメントは以下のシートに書き起こししています。(左タブ:チーム別、右タブ:カテゴリー別)


クロージング


3名の政府関係者にコメントをいただきました。

経済産業省 平本 内閣官房政府CIO補佐官

平本さん

東日本大震災、熊本地震と、現在、どこまでできて、何ができなかった、次どこまでやるか整理している最中。

反省点は、避難所情報(非指定)やマッチングは前回も今回もとれなかったこと。一方、(現在進めている)支援情報の準備が前回9ヶ月に対し、今回2ヶ月とスピードアップしたり、航空写真の活用等進化している点もある。着実に進んでいるので、今後も我々にぜひ力を貸してほしい。

復興庁 武隈参事官

今日発表があったような、NPO等民間の良い取組を平時から行政は知っておく必要があるし、NPO等民間の方からも、是非、行政の方に良い取組を知らせていただきたい(内閣府防災にも本会議を知らせた)。
本日の会議では、東日本大震災の教訓が活かされているのかとの議論となったが、自分はかって内閣府防災で教訓を踏まえた見直しに取り組んだが、本日、多く話題となった「避難所」についても、これまで法律上規定がなかったが、難を逃れるための「緊急避難場所」と避難生活を送る「避難所」と概念を分け、法律に規定した。
また、東日本大震災の教訓では、情報が来ないところこそ、被災の程度が大きく、そのような状況では、情報、要請を来るのを待つのではなく、おしかけ的に「プッシュ型」で支援する方針が定めら、オペレーションの課題はともかく、教訓は活かされていると考える。
本日、物資等の供給に関して、個々のニーズにも対応する精緻なマッチングシステムの提言があったが、そのシステムが活用できるフェーズと「プッシュ型」で送るべきフェーズがあり、災害のフェーズによって対応を変えるべきであると感じた。
最後に、現在、復興庁では、ボランティア、NPO等との連携を担当しているので、ボランティアセンターの運営の仕方について発言があったがぜひ情報交換、ご教示をいただきたい。

 

総務省 今川課長

阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓を皆で活かすのは大切だが、自分も勉強しきれていないし、そう簡単ではないと感じている。メディアのヘリや取材による現地への負荷の問題は、有事と平時で考え方を変える必要があるだろう。平時は競争、有事は協力。代表取材など(コーディネートに役所も絡む方がいいのか微妙なバランスで)工夫が必要。また、政府からの情報は官邸や各省のHPに集約され、専門的見地からは十分な情報量があるので、必ずしも見やすくないが、ぜひ確認してほしい。情報の集約者は少ない方が便利だが情報の発信者は多い方がよく、集中と分散をどうすべきかは課題。

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会場の様子


熊本より

松川さん_picmonkeyed続いて現地、熊本市よりハングアウト参加の松川さんより、息長い熊本の支援がこれから必要ということで、熊本県内のECサイトを集めた「熊本」買って支援のサイトを紹介いただきました。

Facebookページ

 

最後に、発起人より

発起人グループの岸原さんが、今日のスコープは情報共有して仮説をだすことまで、検証は今後の活動の中で継続を、また、災害時ではFace to Faceの関係が大切なのでぜひ名刺交換をと呼びかけました。また、そろそろ被災地支援のプロフェッショナルチームが必要では?という問題提起がされました。

同じく発起人グループの小和田からは、これまでの災害ではチームを超えた反省会をしておらず、個々が改善しても全体としての改善に結びついていなかった。よって、今回は熱いうちに想いが残るうちに場を企画した。今後、個別テーマ毎に平時から備える活動を、ぜひ一緒に継続しましょうと呼びかけました。

 

以上で、会議は盛況のうちに終了、最後に全員で記念写真の撮影を行ないました。

集合写真

(会場の熱気がすごく、頭もカラダもいい汗かきました^^)

 

日曜にも関わらず、会場をお貸しくださったインプレスホールディングさま、準備運営を快くお手伝いいただいたみなさま、ご参加いただいたみなさま、大変ありがとうございました。

今回、共有・話し合ったことを引き続き協力して、「これから」に生かしていきましょう。

こうした動きに関心がある方は、IT×災害コミュニティ にぜひ、ご参加ください。


【熊本地震 情報支援連携会議レポート】

レポート1/3:イントロ編 

レポート2/3:活動報告編

レポート3/3:ディスカッション編 (本記事)


<会議後の報告!>

参加者のおひとり、ウェザーニューズ減災プロジェクトの宇野沢さんが、6/2の【減災コラム】の中で、当会議の様子をレポートくださいました。

ウェザーニューズさんは熊本地震 特設サイトを開設され、現在も毎日、2次災害の防止を主な目的に現地の気象情報を中心に報道されています。ぜひ、ご活用を☆