レポートその2:活動報告編[熊本地震 情報支援連携会議]


5月29日に開催された「熊本地震 情報支援連携会議」レポート、その1イントロ編につづき、その2は活動報告編です。

報告は13団体(うち4つは代読)、NPO、ボランティア団体/プロジェクトに加え、政府機関、大学研究機関、企業など多様な実践者が登壇しました。

スクリーンショット 2016-06-03 22.17.21

ブロックごとに、当日のプレゼン資料を中心にご紹介します。


A 通信とNPO連携、NPO支援など

熊本地震では、通信(特にネット)が使えた※ことが東日本大震災時との大きな違いでした。(※阿蘇地方の一部をのぞく)

また、JVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク 準備会)が現地入りし、支援団体との連携会議を行ったり、そのIT支援をIT DARTが着手しました。


●会津 泉 (iSPP)
 通信環境(インフラ、WiFi)と今後の課題

はじめに情報支援プロボノ・プラットフォーム会津さんより、熊本地震の通信環境と今後の課題についてお話いただきました。避難所に紙があふれていたことなどから、通信各社がデジタルサイネージ提供をしたかったという声があったとの紹介も。今後の課題として、以下をあげられました。

    • 行政、通信事業者、IT企業などとの事前協定・協力体制

会津さん

<発表スライド>

熊本地震 通信状況など0529


●明城徹也(JVOAD明城さん

NPO連携火の国会議の運営について 

熊本市からハングアウトで参加された明城さんからは、まずJVOADの紹介からお話いただきました。東日本大震災での反省からNPOや市民セクター連携、企業、行政の連携、地域との関係構築を行い、今回は4/15日から現地入り、4/19夜から連携会議開催。現在、200団体ほどの活動を把握されているそうです。

<発表スライド>
今後の課題は、以下の2点をあげられていました。

  • 避難所ニーズ対応のしくみの整理:しくみ化しないとできる人・団体が少ない
  • タイムリーな発信:情報は上がってくるが、キャパ不足でできなかった。

 


●岸原孝昌、大菊健太(IT DART)408205_201579369929315_1849430674_n

熊本地震におけるIT DARTの活動について 

IT DARTからは、4/16の先遣隊派遣の紹介や下写真のような複数の活動の紹介が行なわれました。

スクリーンショット 2016-06-01 20.03.47<発表スライド>


B 全般

公的機関を中心に連携し、平時から活動を行なっている防災科研、全国でシビックテック(ITによる社会課題解決)をすすめ、今回、IT支援団体の動きのまとめを作成されたCode for Japan関さん 、今回、支援団体への連携を呼びかけこの会議の発起人のひとり、減災インフォからの活動共有です。


水井さん●水井良暢(防災科学技術研究所) 
災害情報を共有する仲介役を目指して

防災科研は4/15に現地県庁災害対策本部入り、情報のとりまとめ支援や強震モニタ九州版、雨のリアルタイムレーダーなどの提供などを介されました。
自然災害情報室 熊本地震(防災科研)

今後の課題としては、以下をあげられていました。

  • 関係機関との事前の連携

<発表スライド>


 544178_10151543956984040_1790977238_n ●関治之(Code for Japan)
熊本地震から〜シビックテックと防災

東日本大震災時、クライシスマッピングSinsai.infoの活動をされた関さんからは、当時の活動の紹介や、今回のCode for Japanコミュニティでの活動の紹介がありました。

また、当時に比べ、よい点として情報支援をしている人たちのネットワークが「見える化」された一方、考えるべき点として、「クライシスマッピングをやる人は増えたが役に立っているか?」という問題提起がなされました。

code for

<発表スライド>


●小和田香(減災インフォみ絵るヘルプ小和田
熊本地震 フェーズ毎の今回の活動と7つの特長
〜試行・連携のトライアル

減災インフォからは、情報発信のターゲットや目的の意識、平時からの調査データの活用やつながり構築、わかりやすく伝えるための工夫など、今回特に意識したこと、連携のトライアルの紹介をしました。

今後は、今回の気づきを整理し、他団体と共有する中で、すぐに動ける体制、データ、プロセスの準備をしたいと考えています。
減災インフォ
<発表スライド>


 C 地図

東日本大震災時に比べ、スマフォの普及率が上がり、現地でネットがつながった今回は、地図に関するプレイヤーが多かったのが特長でした。

地図に関する支援のまとめを作成された瀬戸さんはじめ、今回欠席となったキーマンにも事前にお話を伺い、紹介しました。


 229368_105996266155119_5253286_n ●畑山満則(IT DART)
避難所情報の集約と課題(代読)

欠席となった畑山さんには、「避難所情報の集約と課題」について事前に報告資料をいただきました。

今後の課題(個人意見)では、避難所情報を平時指定、災害時の指定、非指定などとカテゴリー分けすることを前提として平時からの準備をあげられています。

スクリーンショット 2016-06-01 14.33.40


●塚田耀太(Youth Action for Kumamoto)10479704_792392350783937_2745862475925450167_n

大学生を中心としたgoogleMAPの展開(代読)

発災直後からGoogleMapに各種の情報をまとめ、大学生・社会人1-2年生を中心とした数十人のグループで毎日更新。今回、マスコミでもとても話題となったYouth Action for Kumamoto。機動的に動けたのは、大学生時代に東日本大震災での支援を経験し、全国ネットワークがあったから。

一方、キーマンが社会人になっていくのは必然。代替わりをどうしていくかというのは大きな課題だそうです。

スクリーンショット 2016-06-01 14.34.55


 
13313655_1186454651365092_392464778_o●瀬戸寿一(東京大学 空間情報科学研究センター) 基盤情報としての地理空間情報と災害情報支援における課題

 

瀬戸さんからは、災害時の地図・地理空間情報は、多くの材料は平時に整備する必要があり、それは、一般図、主題図、リアルタイム空間情報に分かれるという整理をいただきました。瀬戸さん

 また、ゼンリンデータコム社「混雑統計(R)」を用いた「熊本地震における混雑度推計」による避難所等滞在者数の推移紹介や、googlemapとOpenStreetMap(OSM)の違いをふまえた使い分け、
 -「googlemap」:すぐに使えるが著作権や紙印刷の制約
 -「OSM」:オフラインでも使えるが平時の整備が不可欠

現地と直接つなぐ手段などの必要性を課題とされていました。

<発表スライド>


D 災害ボランティア

災害ボランティアの領域は、今回、声をかけあいながら情報共有と分担整理ができてきた印象です。

下図は熊本地震でつながり動いた団体の連携イメージ、

スクリーンショット 2016-06-01 16.11.11
(減災インフォまとめ)


G/W前は、これらの団体が内容を相談しあって、TwitterJapanが支援くださった無償広告にボランティア向けのプロモツイートで情報発信を行ないました。


●柴田哲史 (災害IT支援ネットワーク397825_10151144726140573_1676190316_n

災害ボランティアセンターの情報発信支援

支援P(災害ボランティア活動支援プロジェクト会議)と連携した災害ボランティアセンターのIT支援を大島、広島、山梨などで継続されて来た柴田さん。

今回のチャレンジは、各地域の災害ボラセン毎にHP立ち上げをせず、ひとつの特設サイトで、複数の災害ボラセンの情報を掲載したこと。その他、kintoneと連携したボランティア参加者グラフや、一部サテライトでの事前予約制など。

今後解決したいこととして、現地のプリンター設定の効率化や、関係者間でのカーナビ改善などをあげておられました。

<発表スライド>


320190_10150349015254248_199686350_n ●北村孝之(ボランティアインフォ

熊本ボランティア情報ステーションと福岡市ボラバス支援(代読)

東日本大震災時、仙台駅に仙台ボランティア情報ステーションを設置、域外から来るボランティアへの現地案内所を作られ、その後もボランティア情報や運営を専門に活動される北村さんは、5年ぶりに熊本地震で、現地案内所を立ち上げられました。また、G/W後半、ボランティアの急減に福岡市にボラバスを提案、近距離からの送客で現地に負荷をかけないしくみを実現。

今後の課題として、平時からの団体間の情報共有や住み分け、現地で持続できる体制づくりをあげておられました。

スクリーンショット 2016-06-01 14.35.56


●松本裕也(Yahoo!Japan)296820_2457908730516_571477997_n

Y!のIT支援と、熊本現地チームの連携(代読)

地震発生後の被災地に社員を1ヶ月派遣したYahoo!Japan.  現地に行く事が決まってから、減災インフォもオンラインで適宜情報交換してきました。活動は<熊本地震>ヤフーが災害発生直後に現地に入って感じたこと にまとめられています。

これからの課題として、あげられているボランティアを過不足なくという部分は、まさに他団体との連携で解決できる可能性があり、一緒に取り組んでいけたらと思います。

スクリーンショット 2016-06-01 14.37.03


 E マッチングプラットフォーム

物資や支援のマッチングはいつも課題となるテーマ。東日本大震災の経験をふまえ、個人ではなく、避難所単位でのマッチングプラットフォームを最後にご紹介いただきました。


12524034_899416833460047_5585354366678703000_n ●西條剛央(スマートサバイバープロジェクト

スマートサプライを活用した物資支援 


東日本大震災でのふんばろう東日本支援プロジェクトから生まれたスマートサプライシステムがどのように生まれ、どんな特長を持っているか、説明いただきました。今後の課題として、以下等をあげれられました。

  • 平時からの連携(災害時は新しいシステムを使うのは難しい)
  • DMATの避難所運営版の必要性

<発表スライド>


以上、各登壇7分、代読は1〜2分という短時間の発表でしたが、次に生かしたいと思うヒントが満載の活動報告となりました。

会場の様子
会場の様子(資料と議事録をオンライン共有のため、PCやスマフォも見ながらの方が多いです)


3つ目のレポートは、参加者がチーム別に分かれ、ディスカッションと発表、クロージングの様子をお届けします。


【熊本地震 情報支援連携会議レポート】