減災インフォでは、奥村貴史氏(国立保健医療科学院)他による災害時の情報システムに関する論文をもとに、論文で調査されたシステムをリストとして整理して、まとめましたのでご紹介します。論文は、東日本大震災と熊本地震で開発された産官学民のシステムに関して調査した内容をまとめたものです。
目次
概要
奥村先生のチームは論文の作成にあたり、200以上のシステムを調査したそうです。減災インフォでは、その調査内容を内閣府(防災)で検討が始まった 「災害情報ハブ」で検討されている情報カテゴリーを参考に分類・整理しました。リストは「電力」、「鉄道運行状況」、「避難指示発令状況 」などのカテゴリーに分けて整理しています(カテゴリーについては詳しく別項目で説明します)。
今後、起こり得る災害においてシステムの導入を検討するにあたり、東日本大震災や熊本地震など、過去に起こった災害でどのようなシステムが使われていたのかを知っておくのは、以下のような観点から有益なことではないでしょうか。
- 「活かせるものは活かして再利用する」
- 「同じような機能を持ったシステムを新たにつくることを防ぐ」
- 「システム同士の連携でより利用価値の高いものにする」
このリストがすべてのシステムを網羅しているということではありません。このリストをよりよいものに改善していくことも考えていますので、ご協力いただける方はぜひ私たちの活動にご参加ください。
なおこのブログにまとめた支援システムの話などをテーマにした減災インフォの2周年イベント「災害時のIT・情報支援のこれまで、これから。〜東日本大震災・熊本地震でのIT支援を振り返り、これからのエコシステムを考える」を7/8の日中にYahoo!ロッジにて実施します。詳細については、またブログでレポートします。
論文について
奥村貴史氏(国立保健医療科学院)他による論文『Agile Development of Disaster Information Systems for the Kumamoto Earthquake』、『How geeks responded to a catastrophic disaster of a high-tech country』
内容についてのサマリーをpdfにてご紹介します。
リストについて
論文のために調査したサービスのうち、すでに終了しているものは省き、いまも稼働しているもの(更新が止まっているが、今後の災害時には稼働する可能性があるものも含む)をピックアップしました。
災害情報システムリスト
カテゴリーについて
分類の考え方
カテゴリーについては、内閣府(防災)で検討が始まった 「災害情報ハブ」の資料や検討を参考に、どのような情報を提供するシステムかという観点で分類しました。またUSのNISC(National Information Sharing S Consortium)のEEIsも参考にしています。
情報分類イメージ
大カテゴリーを減災インフォの熊本地震での経験から時間軸、対象者で大分類をマッピングしたイメージ図です。
カテゴリー「災害情報ニーズ分類」
大分類に含まれるカテゴリです。
Aハザード
12避難指示発令、16地震・暴露人口
B被害
13人的被害、14避難所、22建物被害
C交通
4道路、15ガソリンスタンド、5鉄道、6運河・航路、7空港
Dライフライン
1電力、17通信、3水道、2都市ガス
E医療
18病院
F物資
10物資
G被災者向けその他
25被災者向けその他
H支援者向けその他
8災害対策本部、9車両集結拠点、11ボランティア、20G空間、21エコシステム、24寄付
Zその他
23原発事故、99その他
各カテゴリーに含まれる情報例等
各カテゴリに含まれる情報例と特長、災害情報ボランティアの必要性の考察です。