2015/6/6 (大安) 減災のための情報を伝えるサイト、「減災インフォ」をスタートしました。 「プレスリリースとは別に、もうちょっと中の人感があるライトな記事、あった方がいいかなぁ?」 「女性の方がいいですよ」 そう、そそのかされて、まずkowadaが個人の私的感情をこめた「はじめましたブログ」をお届けします。(でも、ライトじゃないかもです、すみません><)
なぜ始めたの? その想い
防災ってみんな声高に言うけど、自然災害って防げないよなー、とか、 災害の情報発信の遅れや、甘く見たことで被害が大きくなってしまった過去の教訓があるのに、なぜ、別の地域で同じ過ちを繰り返すんだろう?、とか、 メディアの情報って、熱い時はいいけど、サーーーッって冷めると早いし、大きなニュースが他にあると報道が減る。 一部の地域に偏ると、返って現地を振り回したり、支援の偏りを生むこともあるのでは?、とか、 SNSも含め、フローの情報はあふれている。全体として何が起こっているのか?一番支援が足りないところがどこなのか見渡し辛くない?とか、 役所の資料は丁寧だけれど、遅いし、PDF中心でページ数が多く読み辛くない? 3.11の時は複数省庁に分かれて掲載されるのを探して回るのが大変だった。どうしてオープンデータは推進されてもわかりやすいネット配信は推進されないのだろう?とか また、3.11の時を思い返すと、被災地の地名が読めなかったり、被災自治体の一覧を作るのも土地勘がなくて大変だった.. 次の大災害の時にすぐに動くには、全国の地域の基礎情報を備えておかないと初動を早くできない....とかとか、 4年間、もやもや思い続けていました。 そう、4年。 2011年3月11日から今日でおよそ4年と3ヶ月です。情報は災害時、役に立つのか?
本当に、災害時、情報は何の役に立つのか? いちばん役立たねばいけない時はいつで、それは何のための情報なのか? 自己満足の情報発信になっていないか? ずっと考えてきました。 考え抜いた結果、誰がなんといっても、命を救うための情報がいちばん大切だと思いました。 風水害や雪害はある程度予期でき、被害を回避する行動は可能です。 土砂災害は、特定の地形の土地の危険箇所で発生する確度が高く、その調査はかなり進んでいるので自分が住んでいる土地のリスクをあらかじめ知って備えることは可能です。 地震は突然来ますが、直後よりもその後の津波や火事で亡くなる方が多いです。 ということは、助かったかもしれない命が多いということです。 災害直後はどうでしょう? 大規模災害の時は、生命の危機にある人を72時間以内なるべく早く救援することが先決。 どこにその人がいるのか?は本人または近くの人が発信しなければ、公助の手はすぐに届かないでしょう。 また、避難フェーズ、復旧フェーズにおいては、 その心身の痛みを減らすための支援を、どう迅速に偏りなく、緊急度に優先順位をつけて、行き渡らせるのかが大事なのでは?と思います。 救命救急の現場でトリアージが必須であるように、全ての情報に平等に対応するのではなく、メリハリをつける。情報トリアージ〜災害後あふれる情報の優先順位をつける機能が情報キュレーションにも絶対必要だと、3.11を経験して思います。 また、災害時の支援への備えとして、時間軸ごとに対応すべき事柄を洗い出して備えるタイムライン防災が広まりはじめています。災害の内容と時間軸によって、役に立つ情報は全く変わるということを念頭に、その時、最も必要な情報を、最も必要な人に届けることが必要です。 肝心の災害直後は遠隔後方の情報支援には限界があります。ひとりの想いからチームへ、サイト公開へ、そして...?
必要だよな、そういう情報、見つからないな、と思いつつ、時は過ぎました。 次の大災害時、あの時と同じ無力感で、見るたび増えるTVの数字をただ眺めていちゃいけないよな...、「経験」したからこそやるべきことあるよな...ずっと思っていました。 2013年9月の大島の土砂災害頃から個人的な情報収集、まとめ、SNSを中心とした発信をはじめました。その冬の山梨の大雪時には、見るにみかねたIT×災害コミュニティのメンバーが簡易Web(Wiki)のサイトを作ってくれ、一緒に情報集を行いました。 その中で気づいたのは、各県の自治体の災害時発信の大切さでした。避難勧告や避難指示は、気象庁ではなく、各自治体が発表しますが、そのタイミングは適切か? また、深夜休日におよぶ場合、自治体Webサイトの更新がされないことにも気づきました。なぜ?担当者がHP更新できない可能性があるのでは?それが、自治体のTwitter調査を始めたきっかけでした。 そして、「IT×災害 情報発信チーム」として、活動してきたことを、この減災インフォで公開しました。 とはいえ、プロジェクトとしてタスクをもって安定稼働できているメンバーはほぼ3名。+ピンで手伝ってくれるメンバーも数名の弱小チームです(笑)なんでもはできません。
たぶん、どんなにお金や人があっても、なんでもはできません。 不得意なことは、得意な人・団体と連携すること。 その地域のことは、その地域をよく知る人・団体と連携すること。 今のサイトは旗揚げであって、本当に役立つ情報となっていくためには、各地域の多様な人とのネットワークが絶対必要だと考えています。 やることは、減災に役立つ情報発信についての情報を後方で集めること。 防災のための建物やモノの備えとか、災害時の現地取材とかは減災インフォではやりません。 そのかわり、必要な人に必要な情報を伝えるしくみを整えていくために、 各地域の人や団体とのつながりを作ったり、 大きな発信力があるメディアや信頼できる情報を発信する公的機関と意見交換したり、 災害時現地で活動する支援団体が必要な情報は何かをお聞きしたり、 それらの方が交流する場を作ったりという活動は行っていきたいと考えています。「減災」、その先の希望
4年間、愚直に想いだけは持ち続けて、気づいたことがあります。 災害は何一つ嬉しいことがなく、その痛みを減らしたからといって、情報やそれを提供した人に感謝してもらえることはほとんどありません。(災害オタクでもありませんw) でも、私にはひとつだけ、大きな希望があります。 それは、「減災」というテーマは、命がかかっているので、行政・企業・NPOや市民といった考え方、慣習などを違うセクターの壁を越えて一丸となりやすいテーマだということ。 人口が減少していくこれからの日本、「公助」だけに依存していては、さまざまなことが立ち行かなくなるのは明らかです。いつか来る未来。その未来をいちばん先に経験せざるを得ない、生き延びるために協力せざるを得ないのが災害です。 「減災について考えることは、「地域のことを自分ごと」と考え、セクターの分け隔てなく協力しあう未来の社会をつくるきっかけ。」 そう前向きにとらえると、悲しい災害も、社会への福音になるのではないでしょうか。ご感想、ご意見は、以下までお気軽にどうぞ。 お問い合わせ:問合せフォーム Twitter: @gensaiinfo fbグループ:IT×災害コミュニティ