「自治体防災アプリ、みんなでさわって考えよう」ワークショップを11月に2回開催しました!11月15日開催のレジリナイト(内閣官房国土強靭化推進室連携コミュニティ)、11月20日開催のCode for JAPAN SUMMIT2016の様子を交えてレポートします。
自治体等による地域限定の防災アプリは約70。そのうちの5つを実際にグループでさわってディスカッション。みんなが選んだNo.1アプリはどれ? 結果、集まる人たちの属性により選ばれるアプリは大きく違いました。使う人、使う場面などの特性に応じ、それぞれ良いところ、改善したいところなどの意見を共有します。
背景
2016年。今年はNHKが「ニュース・防災アプリ」をリリース。4月の熊本地震後、防災ハッカソンやアプリコンテストなども各地で開催されています。「でも、防災アプリって、いったいどれくらいあるの?」調べてみたところ※、なんと200以上あることがわかりました。
そんなにたくさんあるなら、「新しく作るだけではなく、今あるものから学び考えることも大切かも?」そんな問題意識で、この企画を始めました。
今回対象とした防災アプリ
今回のワークショップは75分〜90分という限られた時間。200アプリを見ることは困難。そこで、評価するアプリを2段階で絞ることにしました。
1)「全国対象テーマアプリ」と「特定地域アプリ」
全国対象のアプリとしては、例えばYahoo!防災速報アプリや全国避難所アプリなどがあります。最近、防災ガールの防災アプリD/Lランキングという記事で選ばれている5つのうち3つの防災アプリは全てこの全国対象のテーマアプリでした。(残りの2つはTwitterとRadiko)
一方、自然災害において避難勧告等の告知やハザードマップなどの作成は基礎自治体(市町村+23区)で行なわれます。近年、自治体等によるアプリも増加しており、特定地域を対象とするアプリは約70あることがわかりました。
今回のワークショップでは、後者の地域の防災アプリを対象とすることにしました。理由は基礎自治体は1741。今後、他の自治体での地域防災アプリを作る際に、既存のアプリのユーザー評価が参考になると考えたからです。
2)約70の地域防災アプリを特長で分類、5つを選定
約70アプリを似た機能で分類、その中から5つのカテゴリーを選び、代表的なアプリを選んで評価することとしました。
●紙をアプリにした系
●多機能な受賞作品系
●AR活用学習系
●普段使いを防災にも系
●地域情報マッシュアップ系
ワークショップはこのようなプログラムで行ないました。
評価対象としたアプリの紹介
グループワークの前に5つのアプリについて、主催者の意見をなるべく交えず、かんたんに紹介しました。
●紙をアプリにした系 :江東区防災マップ
●多機能な受賞作品系 :荒川区防災アプリ
●AR活用学習系 :天サイ学ぶくん茅ヶ崎市版
●普段使いを防災にも系 :大和市ごみカレンダーアプリ
●地域情報マッシュアップ系 :ふくい防災シグナル
以上の紹介の後、各グループで1時間弱話し合い、No.1を選定、KPT(Keep・Problem・Try)を整理していただきました。
各グループで選んだNO.1アプリ
11/15開催@レジリ学園
★Aチーム:→発表動画
選んだNo.1:天サイ学ぶくん茅ヶ崎市版 (2位:大和市ごみカレンダーアプリ、3位:ふくい防災シグナル)
理由:学習アプリとして目的にあっていて、GooglemapやARの活用も。(学習アプリという注意書きをはっきりさせるとさらに良い)
2位のごみアプリは平時使いを防災にというアイデア。ごみ情報の充実ぷりは今後の防災情報充実に期待が持てる。
★Bチーム: →発表動画
選んだNo.1:「江東区防災マップ」
理由:紙の地図をアプリ化してわかりやすい
Code for JAPAN SUMMIT2016
★Aチーム →発表動画
Code for America基調講演をされたモーニークさんも飛び入り参加♡
選んだNo.1:「天サイ学ぶくん茅ヶ崎市版」
理由:ARで楽しく学ぶ防災教育に使える。
★Bチーム →発表動画
選んだNo.1:「ふくい防災シグナル」
理由:最初の一画面でパっと見れる。気象庁や交通の情報も合わせて見られる。見方がかんたん、県内の複数の地域(市町村)をまたがって見られる。
★Cチーム →発表動画
選んだNo.1:「ふくい防災シグナル」
理由:一元的に情報を見られてよい。でもある程度気象防災に詳しい人向けの印象。一般の人には発災モードなど、何をすればよいかがパッとわかるモードが必要かも。
まとめ
[圧倒的No.1はまだ存在しない]
多様な人が想定ユーザーとなる地域の防災アプリ。今回の2つのワークショップを通してわかったことは、現在はまだ、圧倒的にNo.1の地域の防災アプリは存在しないことがわかりました。
[何のためのアプリか伝わるか?]
また、多機能のアプリが必ずしも喜ばれるのではなく、どんな場面で?誰に?どのように?役立つか?が使う人に伝わるかがまず大きなポイントのようです。伝わるか?が明確でないと、意図した機能が使われない可能性すらあることがわかりました。
ひょっとして今回グループで話し合われた以外の機能や意図もある可能性も?! 今後、今回の5つのアプリの制作会社や自治体にインタビューして想いをお聞きしてみたいと思いました。
[防災アプリのエコシステム?]
5374.jp(いつどのゴミが収集されるか?アプリ)のようにオープンソース化し、よいものを各地で採用しやすくし、さらにクラウドソーシングで改善していってはどうか?という提案もされました。
[今後に向けて]
各チームで話し合われた各アプリのKPT(Keep(よいと思う事)・Problem(改善した方がよいと思う事)・Try(提案))についても、いつかまた整理して共有したいと思います。
来年1月には内閣府(防災)が主催する防災を自分ごとにするアプリ・アイデアのハッカソンも予定されています。これから検討される自治体、技術者のみなさま、ぜひ既存のアプリやユーザーの声も参考になさってみてはいかがでしょうか?^^
補足
(抽出条件:Applestoreで防災のキーワードがあるもの。データ上限の関係からこれ以上に存在する可能性がありますのでご了承ください)