IT×災害会議に参加してみて(佐藤拓也さん/奈良県 YuMake LLC / CODE for IKOMA)


2015年11月に「第3回 ITx災害 会議」が開催されました(詳しくはレポートをご覧ください)。この会議には減災インフォのスタッフも運営に関わっていました。またつながりのある方々にもご参加いただきました。このブログでは、会議に初めて参加された減災インフォのサポートをいただいている佐藤拓也さん(YuMake LLC / CODE for IKOMA / Fandroid KANSAI)に会議の感想を書いていただきました。


IT×災害会議に初めて参加した。

DSC_1451

会議の存在は、初めて開催された2年前の頃から知っていたが、関西在住ということもあり、当時は参加を見送っていた。

振り返ってみると、私が災害へのIT活用について関心を寄せたのは、多くの人と同じ東日本大震災がきっかけである。私は仙台出身であるが、当時は仕事場が東京であった。勤め先のビルも長く揺れ、電車も止まり、帰宅難民になった。職場から自宅まで、約3時間歩いて帰り、道中何度も実家へ電話をするも繋がらず。数日間は何も連絡が取れずに、ただただ心配する日々が続いた。会社も何も言ってくれなかったし、自ら動けない自分が悔しかった。

そんな中で活躍したのが、Twitterアカウントの@UN_NERV(特務機関NERV)であるし、sinsai.infoのサイトやHack For Japanのエンジニア達であった。

この後、私は大学で学んでいた気象の仕事がやりたかったため、大阪の民間気象会社へ移る。幾ばくかした頃、気象庁のデータを活用する試みとして開催されたハッカソンで、Hack For Japanの関さんと出会った。

関さんが、「もっと地域に関するデータが公開されていたら良かったのに」というsinsai.info当時の経験から立ち上げた、Code for Japan。地域課題解決のためのローカルコミュニティは、災害などのいざという時にも力になるはず、という想いに共感し、居住地の奈良県生駒市でCODE for IKOMAを立ち上げた。

コミュニティをやっていると、自ら動くチカラも増す。今は、自ら立ち上げた会社で気象情報や防災情報を世の中の多くの人に活用してもらうべく活動している。

IT×災害会議の冒頭を聞いていて、これまでの記憶が蘇ってきた。

今年の会議冒頭では、初参加の方々向けに、IT×災害会議のこれまでを紹介する時間があった。なので、経緯を全く知らない人であっても、話に混じりやすいように工夫されていた。

IT×災害のコミュニティでは、その周囲でも様々なプロジェクトが動き出している。少しずつではあるが、目標をきちんと持って各プロジェクトとも前進しているのである。

そのプロジェクトの切り分けとしては、災害時に現地に入って情報のトリアージを行うチーム、現地でボランティアとして活動するチーム、裏方の後方支援として情報発信を行うチームが存在している。午前中には、それぞれのチームの立場から状況報告とディスカッションがあった。時間の兼ね合いで駆け足で進んでいったが、もう少しじっくり聞きたかった感があった。

DSC_2094

昼食がとても工夫されていた。
山形発祥の芋煮会を活用しての炊き出し訓練。炊き出し訓練は、食材や器などの調達から提供までの時間、そして役割分担を考えるため、プロジェクトマネジメントの訓練にもなるそうだ。逆に言えば、マネジメントできる人かどうかが分かってしまうことになる。これを利用して、新人研修をする企業もあるというから驚きだ。個人的にも参考にしたいと思った。

午後からはテーマ別のセッション。自治体・官公庁からの情報発信、ITエンジニアによる貢献の仕方、災害時の地図活用セクション、災害事例からITを現地で活かすためのディスカッションなど盛り沢山で、どこに参加しようか非常に迷った。それぞれの内容でイベントをやっても良いくらいの濃さであった。

参加者層は、ITのエンジニア、災害時ボランティア、メディア、自治体・官公庁、アウトドア系の方など様々。共通しているのは、誰もが災害に対して何か役に立ちたいと思っていること。想いが共通していれば、分野が違う人が集まることで、やれることが広がる。

個人的には、今後衛星からのデータ活用を進めていきたいし、国土強靭化の流れの中で、地方での活動を活発化させていきたいと考えている。

災害の備えは平常時の繋がりから。減災インフォでは、その繋がりを作っていくため、プロジェクトが立ち上がっている。私もそのメンバーとして近畿から盛り上げていきたいので、興味のある方は是非、お声がけして欲しい。

繋がれ、減災の輪。友達の輪。


<関連リンク>

「第3回ITx災害2015」開催レポート