イベント「Twitterによる災害情報の収集・共有」レポート


2015年2月25日に開催されたイベント「Twitterによる災害情報の収集・共有」のレポートをお届けします。このイベントでは多様な顔ぶれが集まり、メディア・NPO・教育・IT関連などの方々、約40名に参加いただきました。
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  まずは主催のITx災害コミュニティ情報発信チームより、「ITx災害コミュニティで個々に行われている活動を理解し、広く紹介していくとともに、協力しあう可能性について議論し、少しでも具体的な課題解決につなげていきましょう」と今年度、継続的に勉強会を開催していく目的をお伝えしました。 また、今回のイベントのスコープは災害初期の「把握」フェーズで「地域毎」の被災・支援情報の収集・集約にフォーカスすることをお話しました。  
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☆主催者のスライド:「災害時のTwitter活用勉強会    

Twitter社からのTwitterに関する話題提供

1人目はTwitter社のライフライン担当である谷本晴樹さんからのTwitterについての話題提供です。Twitterの普及とともに、現在は自治体や官公庁において活用が見え、一例では国土交通省河川局などに広がっているということを手始めに、都道府県別では35の都道府県(74%)がすでにアカウントを導入、政令指定都市では浜松市と熊本市を除く市がすでにアカウントを導入している状況を説明されました。現在は「信頼できるアカウントが信頼できる情報を発信する状況をつくることが重要」という考えのもと、自治体や電力会社、鉄道会社といったライフラインに欠かせない団体・企業へのアカウント導入に取り組んでいるそうです。 谷本さんは災害時のTwitterの事例として、昨年の「長野県佐久市での雪害における市長のTwitter活用」、「福岡市・和光市での避難訓練や集中豪雨でのハッシュタグ活用」について言及されました。また一昨年から機能として提供されている「受信側が設定したアカウントからプッシュ通知を得られる」Twitterアラートの紹介もされました。例えば自治体関係者が被災してしまうと、発信できる場所までたどり着けないケースが考えられますが、手元にスマートフォンがあればプッシュ通知を送ることが可能となるといったメリットを挙げていました。 さらにTweetの役割として「災害の端緒をつかみ防災につなげること」も重要と話されており、例えば「地鳴りがする」、「変な風が吹いている」といったTweetから、起こりえる災害をいち早く発見するような研究に団体や企業が取り組んでいることにも触れていました。   ※なお、全国の自治体のTwitter導入状況については、当チームのブログにまとめてあります。ご活用ください  

「Twitterによる災害情報の収集・共有」(稲野茂さん)

2人目のゲストは国土交通省国土技術政策総合研究所の稲野茂さんです。稲野さんからは「Twitterによる災害情報の収集・共有」というテーマでお話をいただきました。この中で昨年、取り組んで来られた「ハッシュタグ『#和光市災害』を使った和光市の防災訓練」と「訓練後に発生した豪雨の際のTweet事例」では、多数の有効な情報が得られたと説明。実際に「和光市は豪雨への対応においてTweet情報を参考にした」、「ビジュアル面も含め被害の把握が瞬時にできたことは大きい(松本市長)」といった声があったそうです。これ以降も国総研は建設業界との実験にも取り組まれています。 これらの取り組みを通じて、稲野さんは共通タグ「#災害通報」、地域タグ「#●▲市災害」といったタグの利用を提案しており、地域タグについては「#宇部市災害(山口県宇部市)」、「#北本市災害(埼玉県北本市)」などのように、実際に自治体へ広がり始めているとの報告がありました。また情報の扱い方については「自助・共助・公助」を例に取り、「自情(自分自身で見た情報)」をTweetすることで「共情(インターネットで共有される情報)」とし、「公情(行政やメディアからの情報)」と組み合わせて、うまく活用していくことが重要と指摘されていました。 ★稲野さんのスライド:「Twitterによる災害情報の収集・共有」

「Twitterを活用した災害情報の収集と被災者支援」(内田理さん)

3人目のゲストは、東海大学情報科学准教授の内田理さんです。内田さんからは「Twitterを活用した災害情報の収集と被災者支援」というテーマでお話をいただきました。SNS上の災害情報をパーソナライズして提示する災害情報提供システム、Tweetから地図上にTweetを表示するシステム、災害報告専用Twitterクライアントの開発といった取り組みが紹介されました。 災害報告専用Twitterクライアントでは、「Twitterに不慣れな人はハッシュタグを付けない可能性がある」といった観点から、入力の手間を減らしてハッシュタグが付けられ、なおかつ逆ジオコーディングから地名を自動取得するなどの工夫がなされており、操作する人が意識せずとも適切なタグや地名が提供されるように考えられています。 こうした取り組みは「平塚市や秦野市が興味を持っており、地域連携の一環としての実証実験」、「学生・職員の人数が3万人を超える大学のスケールメリットを活かした防災・減災への貢献」、「情報弱者に対する支援」などへとつなげていくという今後の方針に触れて終わりました。 ★内田さんのスライド:「Twitterを活用した災害情報の収集と被災者支援」 最後に参加者同士でチームになってディスカッションが行われ、それぞれにアイデアや気付きなどを述べ合い終了となりました。
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  ご参加いただいた皆さま、快く発表を引き受けていただきました稲野さん・内田さん、会場を提供・運営ご協力いただきましたTwitter社谷本さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。ITx災害 情報発信チームでは、今後も災害時のIT活用による減災の勉強会を開催していく予定です。また次回もよろしくお願いいたします。 <関連リンク>